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永遠の0 [本]

空前のベストセラー「永遠の0」読了。

ほんとうに、こんなに、通勤電車の中で涙をこらえて読み進めた小説は久しぶりだった。

読み進める度に、悔しさがこみ上げる。
続いて悲しさで心は支配される。
やがて満たされた悲しさは遠のき、深い感動で心が動く。
戦争はイヤだ。

物語は、かつて特攻で戦死した実の祖父の足跡をたどる姉弟が、当時の祖父を知る人々に取材する形で進行し各々が語る祖父宮部の生き様を通して戦争の時代を生きた日本人の真実に迫っていく。現代と戦時が交互に進行する中で浮き彫りになる宮部という男、そしてその妻への愛を紡ぐ物語が読む者の胸を喜怒哀楽で鷲掴みする。なぜ宮部は特攻を行ったのか???



昨今、時の首相も改憲に邁進している。
そしえそのアンチに対する辛辣な意見も散見する。

けど、
インドネシア大統領が日本、中国、米国などが互いに戦争放棄の法的義務を負う「インド・太平洋友好協力条約」の締結を呼び掛けたといったニュースも届く。
実はこいうアクションを日本が発起して欲しかったりすんだけどな。

とにかく、僕を含めた戦争を知らない全ての日本人にこの小説を読んで欲しい。

本書は電子書籍ないですよ〜。


永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

  • 作者: 百田 尚樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/07/15
  • メディア: 文庫


人気のアロマディフューザーはコレ!

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ルポ虐待 大阪二児置き去り死事件 [本]

久しぶりにkindle以外で買った本のひとつ。

幼い子ども二人をマンションに置き去りにし自らはホスト遊びにあけくれた末、その小さな二つの命に餓死という最期を与えた母。あまりにも酷で直視出来ないような事件で、当時センセーショナルに報道された「大阪二児置き去り死事件」。本書はその母と近親者への取材から、現代の虐待問題の複雑な位相を理解する一助となりえる著者渾身のルポだ。

事件当時の報道はよく覚えている。

子ども達は、自らの汚物にまみれ、またその汚物をも体内に取り込む程の飢餓に苦しみ、そして死んで行った。その絶望的な時間と同じくして男達と戯れていたであろう母の姿。

子ども達の元気な姿が映し出される写真。

そして会わせて映し出される母の姿は目映いドレスに身を包まれている。

このコントラスト。

こんな事件がどうして起こるのか?
どして未然に食い止められなかったのか?

この母は鬼だ!
けど、そんな風にだけ思えたら楽だ。
実際には、鬼でもモンスターでもなくどこにもでもいる女の人の中のひとりで、、

と、、、
本書を読むとその結果の絶望へと向かう道筋が見えてくる。
誰にも助けを求めない母。
母の育った家庭環境の特異さ。

彼女は「母である」ことを放棄しなかった、故に事件は起こった。
叶わぬ理想、なりたい自分と乖離、距離が離れていく現実の時間。

助かるチャンスは確かにいくらでもあったように思う。
普通はそのチャンスの中で手は差し伸べられたはずだ、
しかし彼女の場合はその手を自ら払いのけ、取り返しのつかない結末を生んでしまった。

ただ、本書は狭義には「虐待」についての本ではないように思う。
一人の女性の精神的崩壊の歴史書のようだ。
積極的に虐待について分析、解説もしていない。

二人の幼い命の結末はくやしい。




ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)

ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)

  • 作者: 杉山 春
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2013/09/04
  • メディア: 単行本






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消された一家 [本]

当時ワイドショーか何かでとりあげられていて衝撃的だった記憶が残っているが、なぜかそのあと報道が進まなかった印象も同時に記憶している本事件のルポが「消された一家―北九州・連続監禁殺人事件」

北九州監禁殺人事件。後に分かったけのだけど、本事件はあまりにも残虐である事実とその事件の加害者と被害者が家族であることなどから遺族等からコメントを板頂くこともできず、故にニュースとしてとりあげようにも取り上げることが出来なかったという特異な事件だったのだ。

人の弱みにつけこんで監禁、金を巻き上げ、拷問と虐待によってマインドコントロール下に置き、お互いの相互不信を起こし、被害者同士で虐待をさせることで相互不信を一層深くさせ、自分の手は汚さずに用済みとなった人間を殺害して死体処理を行わせたという。そして失われた命は7。

実の母を殺す、実の父の死体を解体する。

本書はそのおぞましく想像を遥かに超える事件の経緯を細部まで取材することで、松永という理解不能な人間の姿の真にどうにか迫ろうとするも、その望みは叶わない。

読み進める中、その当事者の状況に思考をめぐらせ想像して、吐き気を催す。
あわりにも怖い。

その事件から、まもなく日本ではあの「尼崎事件」が発生してる。
その共通点は少なくないと思う。
日本人の特徴がこれらの事件を通じて語られることもあるんだろうな。

人が人を恐怖で完全に奴隷することが出来る事実。

こわい。


消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

  • 作者: 豊田 正義
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/01/28
  • メディア: 文庫



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レイヤー化する世界 [本]

twitter界で独自のレイヤーを築く佐々木俊尚さんの「レイヤー化する世界」を読了。とっても分かりやすいのだこれが。現代を理解する上でこれは必読。何げにもやもやしていた国、民族、経済、戦争といった概念についてここまで簡単に整理して、また「次に来る世界」がどうなっていくかについても解説してくれてる本ってこれまでなかったから、僕にとってはとてもエポックメイキングだった。

産業革命ではそこに費やす時間に応じて生産が行われ、富を増やしてきたが、今のIT革命では費やす時間に応じて富は増えない。私たちが何時間YouTubeを見ても、全く富は増えないということ。この点においてこれまで産業革命と今のIT革命は全く違う。

だから国というウチの中ではインターネットは働き口を増やさない。

そして現代を支えている国民国家というものの誕生へいたる流れ、現在の世界システムが生まれた経緯を分かりやすく解説してくれている。

こんな話も「へ〜」だ。
もともと日本に結婚式はなかった、ヨーロッパの概念を取り入れ国民国家創設のために天皇家において結婚式という儀式を作った。権威に祭り上げるため。

先日読んだ「新幹線とナショナリズム」で感じた違和感は本書で解消。
ナショナリズムとか言ってる場合じゃないよね、どう考えたって…

これから来る世界にしなやかに乗っていかないと。
ウチとソトの区別なんて意味ないからね。


レイヤー化する世界

レイヤー化する世界

  • 出版社/メーカー: 佐々木俊尚
  • 発売日: 2013/06/26
  • メディア: Kindle版



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新幹線とナショナリズム [本]

2020年の東京オリンピック開催が決定し、にわかにリニア新幹線の話題がメディアを賑わした昨今ですが、本書はさかのぼること49年前に開催された最初の東京オリンピックの年に開通した東海道新幹線の歴史〜2013年の九州新幹線の開業までの新幹線という交通インフラが国家にもたらす影響とそのインフラ整備へ向けての国民の世論の動向を著者が言う「ナショナリズム」を切り口にひも解いたのがこの「新幹線とナショナリズム」です。

日本の新幹線の歴史書としては興味深かったですが、著者の言う「ナショナリズム」と結びつけられた言説には正直???だらけでした。

ナショナリズムの定義が曖昧で稚拙ではないか?と思うし、全体的に古い感覚の俎上での展開をしているようで現代と馴染まない意見が多い。

東海道新幹線開業当時は、実際日本国民全体が豊かになっていく過程だったから著者の言うナショナリズムの下に、国民全てが疑問の余地なく共感、同意して物事が運ばれたに過ぎず、高度成長期ではない現在ではナショナリズムの下に国民みんなが一致団結することは難しい。

著者は新幹線ネットワークでくまなく日本全土が、日本国民が「つながる」と言うが現代での国家的事業、行いはすべからく誰かの利益となり同時に誰かの不利益になる。ゆえにナショナリズムの下に団結などないのだと思う。それは著者の言う家族の例えを借りても理解できる。現在では家族のつながりすら希薄なのだから、国家という家の中では、繋がらない。むしろグローバルに繋がっている人間も多いのだから。

思うに、あくまでつながるのは「個と個」でしかない。
それは親と子か、彼と彼女か、はたまた遠方のアフリカの友人なのかもしれない。

パイが減る中でのナショナリズムはやはり危険だし。
それは偏狭につながる危険が大きい。

人口問題への言及もにわかに信じられないし、ツッコミどころ満載であった。



新幹線とナショナリズム

新幹線とナショナリズム

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: Kindle版





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インビジブルレイン [本]

ご存じ姫川シリーズ。映画ストロベリーナイトの原作はこちらになります。
僕はまだ見ていませんが、映画も見てみたいな。

姫川班が捜査に加わったチンピラ惨殺事件。暴力団同士の抗争の線で捜査が進む中、「犯人は柳井健斗」というタレ込みの電話が入る。ところが、上層部から奇妙な指示が…捜査線上に柳井の名が浮かんでも、決して追及してはならない、というのだ。隠蔽されようとする真実―それはなぜなのか?。警察組織の壁に玲子はどう立ち向かうのか?

相変わらず、面白くすぐに読み終えちゃったけど、最後の種明かしはなんだかとっても陳腐だし、刑事とヤクザの◯◯もちょっと無理矢理感があってネタ切れ?って思っちゃう。

このシリーズ物の読者としての僕が飽きてしまったと言えばそれまでなのだけど。

正直、緊張感が無い作品でしたね。
面白かったけど。


インビジブルレイン (光文社文庫)

インビジブルレイン (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: Kindle版




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40代、職業・ロックミュージシャン [本]

大槻ケンヂさんの40代以上の現役ロックミュージシャンとの対談ルポタージュを読みました。

2006年には筋肉少女帯を再結成するなど、中年ロッカーとしての考えや、そこまでに至る変遷、心の変化の様子などは興味深い。同様に40代を超えてなお、ロッカーとして活動を続けるロックミュージシャン達の気持ちをすくい上げている。

例えば、ローリー寺西さんや、ダイヤモンドユカイさん、リンドバーグの渡瀬マキさんなど馴染み深い人々の今、を垣間見れるのはなかなか新鮮でした。

みなさんが、聞き手が大槻さんということもあり、ゆる〜くリラックスして語っているのがよく分かります。

確かに太ったロッカーって説得力無いよね。

kindleで読んだのだけど、折角の電子書籍なんだから登場するみなさんの写真とかふんだんに載せてくれたらうれしかったのになぁ。




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これからの「正義」の話をしよう [本]

これまた遅ればせながら話題だった書「これからの「正義」の話をしよう」を読みましたよ。

善い事と正しい事の違いって難しいですね。

難解なテーマを優しく投げかけてくれるのだけど、本質が難しいお話なのでなかなかどうして考えさせられる。悩ませられる。

「私は私のものなのか?」

基本手には答えはイエスだが、突き詰めていけばそこにだって疑問は生じるんだよね。

「カントの理論は、自分の所有者は自分自身であるという概念にも、人間の生命や自由は神からの贈り物だという意見にも基づいていない。その基盤となっているのは、人間は理性的な存在であり、尊厳と尊敬に値するという考え方だ。」っって????

「カントが重要だと言っているのは、善行が喜びをもたらすかどうかではなく、そうするのが正しいからという動機で善行をなすことだ。」って>>?

人間性を単なる手段としてではなく、つねに同時に目的として扱うように行為せよ。

やっぱりみんなカントに行き着くんだよなぁ〜。

「カントは、われわれはみずからを単なる嗜好や欲求の塊以上のものと考えるべきだと主張した。自由とは自律ということであり、自律的とはみずから与えた法により統治されることだ。」

「純粋理性批判」読まなきゃね。






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金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの [本]

ホリエモン出所ということで、購入。読んでみました。

本書は基本的にホリエモンの有料メルマガをまとめたものなので、内容はQ&Aが中心だったりと濃いものではありません。

ただ出所時の痩せた姿に表れるように、思想は一段とシャープになっているようにも思います。

常識を疑おう!

完全に正しい事なんてない!

出所し身も心もさらなる自由を手にしたことでしょう。

今後の活躍に目が離せません。
金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?

金持ちになる方法はあるけれど、金持ちになって君はどうするの?

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/04/30
  • メディア: Kindle版



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シンメトリー [本]

ストロベリーナイト以来の姫川シリーズを読み進めているわけだが、短編集となっている本作「シンメトリー」は正直かなり物足りない。

全部が全部、リアリティと臨場感の無い作品ばかりで、全くもってグッとこない。

姫川刑事の描きかたも中途半端で感情移入できない。

表題作のシンメトリーも、タイトルと事件内容も深みのある関連性はなく、ジャストアイデアをちょっと事件ぽくして、刑事小説にしました〜くらいの感じだし。

多くの方がブログ等で感想を述べている通り、本作は面白くない。残念だ。

そもそも作者は短編を書く力量が無いのかしら?
もしくは手抜き?とさえ思ってしまう悲しい読書となりました。


けど、姫川シリーズは今後も購入して読みますけどね。


シンメトリー (光文社文庫)

シンメトリー (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/02/20
  • メディア: Kindle版



シンメトリー (光文社文庫)

シンメトリー (光文社文庫)

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/02/09
  • メディア: 文庫


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