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新幹線とナショナリズム [本]

2020年の東京オリンピック開催が決定し、にわかにリニア新幹線の話題がメディアを賑わした昨今ですが、本書はさかのぼること49年前に開催された最初の東京オリンピックの年に開通した東海道新幹線の歴史〜2013年の九州新幹線の開業までの新幹線という交通インフラが国家にもたらす影響とそのインフラ整備へ向けての国民の世論の動向を著者が言う「ナショナリズム」を切り口にひも解いたのがこの「新幹線とナショナリズム」です。

日本の新幹線の歴史書としては興味深かったですが、著者の言う「ナショナリズム」と結びつけられた言説には正直???だらけでした。

ナショナリズムの定義が曖昧で稚拙ではないか?と思うし、全体的に古い感覚の俎上での展開をしているようで現代と馴染まない意見が多い。

東海道新幹線開業当時は、実際日本国民全体が豊かになっていく過程だったから著者の言うナショナリズムの下に、国民全てが疑問の余地なく共感、同意して物事が運ばれたに過ぎず、高度成長期ではない現在ではナショナリズムの下に国民みんなが一致団結することは難しい。

著者は新幹線ネットワークでくまなく日本全土が、日本国民が「つながる」と言うが現代での国家的事業、行いはすべからく誰かの利益となり同時に誰かの不利益になる。ゆえにナショナリズムの下に団結などないのだと思う。それは著者の言う家族の例えを借りても理解できる。現在では家族のつながりすら希薄なのだから、国家という家の中では、繋がらない。むしろグローバルに繋がっている人間も多いのだから。

思うに、あくまでつながるのは「個と個」でしかない。
それは親と子か、彼と彼女か、はたまた遠方のアフリカの友人なのかもしれない。

パイが減る中でのナショナリズムはやはり危険だし。
それは偏狭につながる危険が大きい。

人口問題への言及もにわかに信じられないし、ツッコミどころ満載であった。



新幹線とナショナリズム

新幹線とナショナリズム

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: Kindle版





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