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時が滲む朝 [本]

今回は、iBooksで360円。
2008年の芥川賞受賞作ですね、本作は日本語以外の言語を母語とする作家として史上初めての芥川賞受賞となったことでも話題を呼んでいました。

内容は中国民主化勢力の青春と挫折がテーマで、民主化運動に加わり理想に燃える大学生二人が1989年の天安門事件で挫折するまで。そしてその後の北京五輪前夜までの人生の苦悩や哀歓を通した成長物語です。

女性作家特有とも言うべき瑞々しい筆致で、苦悩と挫折を描くも終始どこか爽やかなトーンで一貫しています。

そして、この小説に興味をもったのは何よりも1989年の天安門事件という個人的にも大変なエポックが重要なテーマでもあるからです。

1989年と言えば、僕がまだ8才という小学年の低学年にも関わらず、ニュース映像に移された衝撃的な彼の国での映像、群衆と戦車が対峙するという異様な絵は幼心も眼に焼き付きました。

おそらく僕の自分史の中でも、2011.9.11が発生するまで一番印象的なニュースでありつづけていたのだから。

そんな世界的に、また当然中国にとっての大事件を渦中にいた中国人がどう感じ、それをどのようにして日本という外国に居て表現したのか、とても興味深かったです。

まぁ小説を読んでみて、実は以外と真新しいモノをそこに感じ取ることはできなかったのですけどね。

学生運動はどの国でも、青く中途半端に終わるものだし、、、
まぁ今のソーシャル全盛の頃にかの天安門事件が発生したら状況は大きく違う気もするが。

もはや、今の経済大国中国ではこんな動乱は起き得ないでしょうしね〜。

って感じでした。


時が滲む朝

時が滲む朝

  • 作者: 楊 逸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 単行本



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企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 [本]

各所でお薦めされていた〈企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔〉を今回はkindleで読書。

これはね〜、子ども達に読ませたい一冊ですよ。
これからの世界を生き抜くためにはね。
(もちろん、まだ3才と1才では読めませんがね。)

アップルやグーグルのみならず、マクドナルドからエクソン、モンサントまで、国境を超えて世界を「我が世界」に変えていく巨大グローバル企業の実態について書かれたのが本書。


国家を超えた資産、国家に対する強大な影響力を有し世の中の仕組みを創造。世界を我が帝国に作り替えていく企業帝国。その仕組みの中で使われる労働者。

これからは、この仕組みを作る側にまわるか、仕組みの中で働かされるのかのいずれかに結果的に入ることになる。つまり、これまでのように日本国内でひっそりと中産階級的な生活を送る平均的ホワイトカラーは存在できず、億万長者かワーキングプアかの世界になる。これから先、子ども達の世代ではその状況は加速度的に進むという事。

そんな話は近未来の事ではなく、まさに今、この世界はそうなっていますよというお話。
日本にいては、なかなかそんな視点で実感できませんけど、、、

そんな僕も帝国に餌付けされた消費者。
アップルのMacBookを使い、iPhoneでいつでもどこでも通信。iPad miniでkindleアプリいれてAmazonから電子書籍を購入、読書。
映画もレンタルDVDではなく、iTunesでAppleTV視聴。

アップル帝国に支配された消費者です。

どっちに入るか、けど仕組みを作る側に入るには一筋縄ではいかない。

そう、教育。
まずは教育。

そう、まずは自分から。

この本に書かれているようなアプローチの仕方は僕自身全く出来ていないので、子どもにもこれじゃ伝えられませんね。





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ストロベリーナイト [本]

なんか、映画化されたってことで、興味をもって
そうそう、CINEMA EOS SYSTEMで撮影されたとかでCMでもコラボしてたから目についたのかな。
で今回はkindleではなくiBooksで購入してみた。

「溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実。」

といった感じでなかなかの残虐描写ありのスリリングな警察小説でした。

ネタバレだが、エフっていう存在がこれ魅力的。

そして本を読み終わってから気付いたんだけど、映画版のストロベリーナイトってこの小説の映画化ではなくて、姫川玲子シリーズ の「インビジブルレイン」の映像化だったんだね。

残念、作中、地元の戸田公園とか登場するから「おお」て思ったんだけどね。

エフの演出がどうなるか知りたくて映画を観たいと思ったけど、おあずけだね。
インビジブルレインもそのうち読まなきゃな。



でインビジブルレインも面白いの?



ストロベリーナイト (光文社文庫)

ストロベリーナイト (光文社文庫)

  • 作者: 誉田 哲也
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/09/09
  • メディア: 文庫



インビジブルレイン (光文社文庫)

インビジブルレイン (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: Kindle版


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フクシマ3.11の真実 [本]

震災2周忌にあわせてなのか、kindle版が93%OFFの90円と破格の低価格だったので購入読了。

2011年3月11日14時46分。
マグニチュード9.0の巨大地震 が発生。
直後には「福島第一原子力発電所での水素爆発」。
政府から非難指示が出された後、 福島原発25キロ圏内にある「大町病院」は、
ほとんどの病院スタッフが自主避難をしてしまい、 150人もの患者が取り残されていた。
そんな中、自衛隊よりもはやくかけつけ、 被曝覚悟で、命がけの救援活動を行なった男たちがいた。
メディアでは報じられていない 彼らの活動のドキュメント。

当時の事がありありと思い出される文章、言葉。

消えたカップ麺。
ガソリンスタンドへの長蛇の列。
輪番停電という愚作。
車列をなす災害復旧車両が続く東北道。
繰り返し流されるウネリある黒い海。

その時自分も家族と離ればなれで暮らしていたゆえ、
会いたい人に直ぐに会いに行けないもどかしさが、今でもはっきりと思い出される。

あの瞬間に生じた人々の感情の渦というのは、戦後最も激しいものになったんだろうなと想像出来る。

その忘れてはいけない出来事の記録として
このドキュメントも後世に残されるべきものだと思う。


フクシマ3.11の真実

フクシマ3.11の真実

  • 出版社/メーカー: ゴマブックス株式会社
  • 発売日: 2011/07/10
  • メディア: Kindle版




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日銀を知れば経済がわかる [本]

池上彰先生の「日銀を知れば経済がわかる」がkindleで安かったので購入読了。

確かに分かりやすいが、けど難しかったわ。

日銀の職員ってどうやったらなれるのかな?

知らなかったけど、
アメリカのドル紙幣には、どこの地区連銀で発行されたものか、分かるように独自のアルファベットが印刷されているらしいね。Aはボストン、Bはニューヨーク、Cはフィラデルフィアといったようにね、、、

あとさ、今はもう公定歩合ってやってないのね!
昔は公定歩合って習ったよね〜。


ともあれアベノミクスの行く末はいかに!ですよね。

株価がどんどん上昇しているの横目にしていると、久しぶりに株を買いたくなる衝動にかられますよ。
今日現在(2013.03.21)で日経平均が¥12,635ということですからね。

景気は良くなって欲しいものです。はい。



日銀を知れば経済がわかる: 464 (平凡社新書)

日銀を知れば経済がわかる: 464 (平凡社新書)

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2009/05/16
  • メディア: Kindle版






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ノマドと社畜 ~ポスト3.11の働き方を真剣に考える_@May_Roma [本]

で、またkindleでポチッて読んだのは、ツイッターで有名な@May_Romaさんの「ノマドと社畜 ~ポスト3.11の働き方を真剣に考える」です。今はまだkindleのみでの販売のようです。450円という低価格で気楽に読めます。

タイトルの通り、数年前から巷で流行っているノマド的な働き方、これを志向する安易な風潮に対して冷静にかつ辛辣に批判しています。そして働き方について考えさせられます。

元国連職員などとして数カ国で働いてきた著者(現ロンドン在住)だから言える、本当のところがわかり易く書かれています。またノマド的な働き方として日本の10年先を行っているというイギリスの現状の解説がまた説得力あります。

日本のノマドというと、軟派な感じで、どこどこのカフェは無線LAN使えて電源もありますとかそういうスタイルばかりに注目が集まって、ネット界でもいろいろなトコロで炎上していますが、そう、ノマドって言ってもただの自営業者ですからね。

要はどんなスキルでどんな戦術で自分を売って生計を立てるかがすべてで、どんなMacBookを使っているとか、どんなカフェが便利かなんて二の次、三の次、どうでもいいわけですもんね。


正直、真新しい内容は無かったけど、ノマド的なスタイルに憧れる20代はこの本読んで損は無いです。

そういう、僕は今、MacBookPro typeR の13inchが欲しいんですけどね。


あと、やっぱり、三歳の息子に春から英語教室に通わせようと決めましたよ、この本を読んで。

どう考えても、英語できた方が良いですよ。
中途半端なパパとは違って息子には!!!
ノマドと社畜 ~ポスト3.11の働き方を真剣に考える

ノマドと社畜 ~ポスト3.11の働き方を真剣に考える

  • 出版社/メーカー: 朝日出版社
  • 発売日: 2013/01/10
  • メディア: Kindle版



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ステップ [本]

最近は勢いづいてkindleで本を買っている。
今回は重松清さんの「ステップ」。

結婚三年目に妻が急逝。
残されたパパと娘。

そんな家族の変化を娘の美紀が小学校を卒業するまで描いている。

この小説は、小さい子供をもつパパ、
新たな命の誕生を喜ぶ夫婦、
そして目に入れても痛くない孫を愛でるお爺ちゃんに
ぜひ是非オススメ。

随所に自分の場合に置き換えて考えさせられるシーンがてんこ盛りで、あ〜なるほど、、そうだよな〜と思わず声に出してしまいそうになる。

保育園に通う幼い娘、ママがいないという事実の意味も分からぬ姿。
悪意はなくとも向けられる浅はかな言動に傷つく少女の姿。


この本を読むと、とってもとって自分の家族への感謝の念が湧いてきます。逞しく健やかに成長する我が子に感謝。ありきたりだが、この一瞬一瞬がかけがえのない大切な時間なんだと思い知らされる読書体験でした。


(そんな本著からの抜粋)

子どもが育っていくというのは、親を黙り込ませてしまう場面が増えていくということでもあるのだ。



つまりね。人間ってリレーする存在なんですよ。前の人からバトンを受け取って次の人に渡すことって、なんていうか、人間の本能で、人間っていう存在そのものなんじゃないか。

ステップ (中公文庫)

ステップ (中公文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/03/23
  • メディア: 文庫





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ユニクロ・柳井正の進化し続ける言葉 [本]

App Store で期間限定ということで85円で購入した電子書籍「ユニクロ・柳井正の進化し続ける言葉」、年末年始暇な時にさらっと読んでみました。

2009年までの言葉の抜粋なので、ちょっと古い感は否めませんが、ちょうどユニクロがフリースで大ブレイクした当時の1998〜2002年を東京で大学生と過ごした身としては、当時のブームの様をまざまざと体験しているので感慨も深く、思い出も相まって歴史書的に楽しめました。

ユニクロ、フリースブームの当初は、
なんでこんなに画一的で無個性なファッションへと導くのだと憤慨したが、実はカラーバリエーションや短いサイクルで商品を売り切るという手法で、実は一定量の商品を大量には投下するのだが直ぐに売り切ってしまう。つまり欲しいと思った時には店舗に置いていないということもざらなのだ、だからその無個性に感じられる商品にも希少性すら存在しているのだ。

ということが分かるのだが、、、

けど、やっぱり、UNIQLOってどうなんだろうって思う。
なんか未来が想像できない。


本書だが、随所に同じ内容の繰り返しといった感じの箇所もあるので、
まぁ85円だからもとはとれたかなという内容。そこまではオススメできません。

<1月15日まで、期間限定で85円みたいですよ>



ユニクロ・柳井正の進化し続ける言葉

ユニクロ・柳井正の進化し続ける言葉

  • 作者: 川嶋 幸太郎
  • 出版社/メーカー: ぱる出版
  • 発売日: 2009/08
  • メディア: 単行本





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オリンピックの身代金 [本]

kindleでの読書が便利、快適。AppleTV同様にドンドンとポチっちゃいそう。
けどね、kindle、品揃えが悪すぎだよ、もったいない、そして価格ももっと下げた方がいいんじゃない?

で、今回読んだのは奥田英朗さんの「オリンピックの身代金」。
さすが、奥田さん、面白い!!

昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都・東京。この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が当局に届けられた!しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。

実際にこの時代を生きた人が読んだら、生き生きと描かれたオリンピック前夜の東京、そして日本の情景に思わず唸ること間違いなしじゃないかと思う。
作者が緻密に、そして入念に取材したことが伺えて本当に臨場感がある。

ただ、この作品はエンターテイメントとして素晴らしいだけではなく、作中に当時の日本の東京と地方の格差問題をからめることで、また現代のそれを暗にテーマとすることで社会の底辺で生きる人の悲哀を描いている。働けども働けども貧しいままの秋田の農村出身者たち、当時の地方格差は、いまでも変わぬ部分もあるだろうし、さらに現在ではその格差はあたかも隠蔽されているが、新たな階級社会の出現をも想起させる。


この本を読んで直ぐに思い出したのは、垣根涼介さんの「ワイルド・ソウル」だ。
国家の政策でブラジルに移民した日本人のその後、あてがわれた未開の地での開拓は過酷を極める。これはまさに移民政策ではなく、それは棄民政策であった。その末裔が日本に一矢を報いようとする姿は、「オリンピックの身代金」の島崎の勇姿に重なる。


「オリンピックの身代金」と「ワイルド・ソウル」これは是非合わせて読んで欲しい。
どちらも面白すぎていっき読破してしまいます。

オリンピックの身代金 上 (角川文庫)

オリンピックの身代金 上 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2011/09/25
  • メディア: Kindle版



ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)

ワイルド・ソウル〈上〉 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 垣根 涼介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 文庫




フィリピーナ専門ライブチャット♪エンジェルワールド

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無理 [本]

またしても、面白くて一気に読んでしまいましたよ。
奥田英朗作、「無理」。

これは先々週からの2週間の地方ロケ行脚中に、飛行機や新幹線やホテルでひといきに読破した小説。

合併で出来た人口12万人の寂れた地方都市・ゆめの。この地で鬱屈を抱えながら生きる5人の人間が陥った思いがけない事態を描く渾身の群像劇。

いや、平成の大合併懐かしいですね。
僕の故郷も、4町村が合併し市になったことは記憶に鮮明です。
故郷の名が無くなるという感慨ですね。

で、この小説もそんな合併で出来た地方都市が舞台となり、まぁ魅力的な登場人物の競演で読む者を飽きさせません。

弱者を主張し身勝手に生活保護を受給する市民に嫌気がさしているケースワーカー。
東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年の女子高生。
加藤裕也―暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。
スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、バツイチで孤独な48歳の女。
もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。
更にはニートなゲームオタクに、ブラジルからの移民労働者の子ども達。

など、、まぁ日本の現代の地方をリアル?に描いています。

そんな群像劇が迎える大団円がまた何とも言えないのです。


これは、暇つぶしには最適、最高の解ですよ、みなさん。


無理 上 (文春文庫)

無理 上 (文春文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/06/08
  • メディア: 文庫





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