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差別と日本人 [本]

野中広務と辛淑玉の対談を辛氏がまとめた本書のテーマは
もちろん、差別
この世からなくならない、悪意に満ちた感情であり、同時に享楽を伴うが故に、駆逐できない人間関係を規定するシステムの一つ。この行為で暴利を貪って来た過去と現在の富豪、資本主義に則った華麗で残酷な金儲けの駆動輪だ。

ということを本書が言いたい訳ではなく、被差別部落民の人野中氏と、在日の血が流れる辛氏がそれぞれの立場からこれまでの近代日本で続く差別の問題とそれに取り組む現在の政治のあり方を、各々の体験を元に批判する。
僕の出身地は新潟だから、自分が幼少の頃のこの二つの差別に触れることはなかった。(知らなかっただけなのか、当時その場にも存在したのかは分からない)
いずれの差別問題の当事者も関西に多く、これまで僕は関西で暮らした事も無ければ、関西の親類がいる訳でもないので、本当に遠い場所で起っている問題のようにしか、どうしても感じられない。

もちろん、今の日本では在日の方や、その他外国から来ている人に会うことはまったく珍しくないが、こと被差別部落の問題は見た目で分かるものではなく、顕在化しにくいので、感じられない。いくら外部情報から、「日本には推定○千カ所の被差別ぶらくがある」とか「○万人の被差別部落出身の人がいる」とか言われても実感は伴わないし、第一おそらくカウントできるものでもないだろう。

本書でも触れられているが、現在でもよく、誹謗中傷の方法として良くネット上では「芸能人の誰々は朝鮮人だ」とか「誰々は被差別部落民だ」とまことしやかに、いや根も葉もない嘘が垂れ流されている。2ちゃんねるなどね・・・みんな他者を差別して自分の優位性を確認することで優越感にひたる。
かく言う僕もそんな内容をネットで検索している時点でその中の一人に含まれるのだが。

本書では特に政治とからめてこの二つの差別について語っている。
麻生太郎の出自とその強烈な差別意識や小泉純一郎のどこまでも冷たいドライな部分など、、、
ようは、日常TVニュースなど語られる事のない、地味な視点(野中氏)からの政治解説も面白い。

そして、野中広務というあの強面の元政治家の素顔にを少し垣間みることができる。


そう、なかなかおすすめの一品です。
(内容の思想感はそれぞれ読む人の受け止め方に任せるとして)


差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

  • 作者: 辛 淑玉
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/06/10
  • メディア: 新書






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